2009.08.05
                 「北スペイン・巡礼の道を往く」            佐藤満壽哉

  今年、09年5月、思い立って北スペインは巡礼の道を歩くツアーに夫婦で参加しました。
スペインは私の好きな国の一つで、前に南部の方は回りましたが独特な雰囲気を持つ北スペインに行ってみたかったので、それならば昔から有名な「巡礼の道」をいくのもいいなと思った程度で、特に宗教的な意味からでもなく、日本の「四国遍路の旅」もしてみたい気持ちと同じようなものでした。ではとりあえず少し「巡礼の道」の解説をしてみましょう。

 スペイン北西部ガリシア地方にサンティアゴ・デ・コンポスティーラという町があります。
伝説によるとキリストの12使徒の中の聖ヤコブ(スペイン語ではサンティアゴとなる)はエルサレムで殉教し、彼の弟子たちは遺骸を船でスペインに運んだのですが、イスラムによるスペイン侵入のごたごたの間に、その墓の所在は忘れられたのでした。後々の9世紀に、星に導かれた羊飼いがヤコブの墓を発見しそこに教会が建てられました。この伝説によりサンティアゴ・デ・コンポステラという町の名は、ラテン語の「星の野」が元になったとされているのです。そしてこの話がヨーロッパに伝わって、多くの巡礼者たちがこの町を目指すようになったのがこの「巡礼の道」の始まりでした。
 難しい話はこれぐらいにして、早速旅に出ることにしましょうか。

  先ずはエールフランスでパリで乗り継ぎ、スペインのビルバオで一泊、翌日は朝早くから出発してヘミングウェイの小説「陽はまた昇る」の舞台と、「牛追い祭り」で有名なパンプローナの町へ。

この祭りは毎年7月6日から9日間に亘って行われます。メインイベントの「牛追い」は その日の闘牛に出る牛を放し、闘牛場までの800mを男達が追い込むのです。牛の前後を走り回る男達、怪我をする人も毎年出るようです。血の気の多いスペインの人が好みそうなお祭りです。女性の前では、さも力がありそうな格好をつける男達を、スペイン語では, マッチョと呼んでいるようです。

 期間中は様々なイベントがあって町は不眠不休となり、広場ではコンサートやダンスが続けられ一方、ある人々はバルでお酒を飲み明かすようです。その熱狂振りはすごいものだと言われています。
一度いらしてはいかがですか? ただし懐中物にはくれぐれもご用心!
 そして近くには「陽はまた昇る」の主人公がマス釣りをした村「ブルゲーテ」や、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルの生地「ハビエル」もあります。
 そして本日はパンプローナにて宿泊です。
翌3日目は、いよいよ巡礼気分での歩きです。
麦畑の中に立つロマネスク様式の八角形の教会から道しるべのみが頼りのスタートです。

早速、イギリスから来たという女性2人と記念撮影です。陽がさして天気は良いし空気はきれいだし、路傍には色とりどりの花が咲き、小道を横断するカタツムリにも声をかけたくなるような
のんびり旅。空には鳥の声もして・・・・。そしてほどなく一時間・・・・。
 ところがドッコイ!そうはいかない事件勃発!何何何・・・・? あわれな日本人一行は、うかつにも道に迷ってしまったのでした!
どうも道標が無いと思ったとか、あの三叉路は右だったとか言ってもすべて後の祭り。

あっちゃこっちゃと道を訪ねながらバスと連絡をとりながらの数十分・・・・どうにか予定の場所にたどり着くというハプニングもありました。若き女子添乗員の汗だくになっての走りっぷりが一同の同情を引いたようで、この旅を通しての人気のある笑い話となりました。
 その日、もう一つ面白いことに遭遇しました。途中の道でワイン博物館に寄ったのですがその近くに何と「FUENTE DE VINO」(ワインの泉)の道しるべがあったのです。
思わず行ってみると、蛇口があり、それをひねるとなんと本物のワインが出てくるのでした。
これまた皆で大喜びで頂いた次第でした。勿論すべて無料でした。万歳でした。
日本にもある、お酒の出る宗教的な伝説でもあったのかもしれませんが、とてもオシャレなハプニングでした。そしてそこでは更に、聖ドミンゴのお祭りの日でもあったので、ブラスバンドの音楽隊も見ることができ、鶏伝説のある「サントドミンゴ・デ・カサルタ」では、早速 教会前にある、顔をだして撮る例の写真を一発! どうぞ笑ってやってください! 本日はこれまでで、ブルゴスに宿泊となりました。   ではまた次回をお楽しみに。