上海万博雑記 (6月19~20日、2010)
                                            
加藤 博通(寄稿日:8月12日、2010
                                       
 
去る6月19日、20日、中国杭州市、浙江工商大学にて開かれた「日中相互信頼、戦略的互恵促進に関する学術研究会」に、日中関係学会から参加出席し、帰途、一日だけであったが「上海万博」を見学した。
本学術検討会では、日中相互信頼関係創出に関して実り多い発表が多々あったが、これについては他稿にゆずるとして、「上海万博」について雑感を記す。
この万博は「より良い都市、より良い生活」をテーマに5月から10月まで半年間、上海外灘(バンド)の西方、黄浦江をはさんで浦東と浦西、3.3平方キロの広大な敷地に開催されている。
上海市内のホテルから会場へは最新の地下鉄で40分、早朝は出足の早い入場者混雑により大変待たされるとのことで、11時頃会場へ着いたがさほどの混雑はなかった。          
(写真)中国館前
上海市内から地下鉄、バスで連絡している8箇所の入場口の大きさに驚いたが、1日40万人の入場者がペットボトルは一切持ち込み禁止と一人一人空港並のセキュリティチェックを実施されている。 
会場に入ると、その広さのせいかそれほどの群集を感じないが、人気パビリオンの「中国館」「サウジアラビア館」は5時間待ち、「日本館」4時間、「韓国」は2時間待ちと大勢の人たちがお好みパビリオンで待ち行列をしている。
上海もこの日は梅雨の合間、そう蒸し暑くはないが日中屋外30度、夕刻から25度前後と温度が高く、各館入場行列の人達は天井パイプから霧状の水煙が注ぐ大きな連絡通路の下で気長に順番を待っている。
お目当て「中国館」は残念ながらギブアップし、「日本館」を見学した。 繭を形どったという概観はつぶれた札幌ドームのようで、あまり形は良くないが、館内は遣唐使以来の日中交流、日本の伝統的自然・四季と生活、引いては文化との融合、さらに共生する現代生活の一端や自然と生活に最も重要な創水、エコカー、CO2削減等を見事な技術力により判り易く展示、又、ステージではトヨタの「バイオリンを弾くロボット」やキャノンの超多機能「ワンダーカメラ」を使った未来技術に、日中自然保護活動のシンボルである「朱鷺」をテーマとしたミュージカル等を上演している。しかしこの「朱鷺」上演時間が少々長すぎ、中国人参観者には消化不良のせいか拍手もすくなかった。 しかしハイテクを駆使した日本館に対する関心は深く、入場制限、毎日, 400人づつ35回、15000人の入場予定に対し日中4時間待ちと評判も上々とのことである。
 「中国館」に次いで人気パビリオンは。待ち時間5時間の「サウジアラビア館」とのこと。ここはステージのアラビアンダンスが素晴らしく絶大な人気があるとのこと、是非観たかったが一日見学では断念した。 矢張り万博も映像やステージを中心とした華やかなショーのほうが好まれるようである。
                                               
(写真:マカオ館)
逆に空いているパビリオンをと、待ち行列無しの今回万博初参加「北朝鮮館」を参観した。
「北朝鮮」は今回始めて万博に参加したとのことであるが、壁面いっぱいに平壌の街並を写し、部屋中央に主体思想塔、噴水台を設置、平壌の歴史や建築を紹介する映像や書籍が陳列され、切手などの記念品を販売していた。 こじんまりとあまり目立たぬ展示に中国人にも人気が無いこと肯けるが、上海万博に参加出展したこと自体に意義があるのだろう。
対象的に韓国、中国の産業館は特に多機能、大画面映像技術を駆使して、今日から明日への自己PRが印象的であった。 その中、「中国国家電網館」が「電力スマート・グリッド」について判り易く展示、ショー化しているのには感心した。 又、通信、映像等IT技術はあっという間に世界に広がっていることを実感した。
広い会場、各館入場待ち時間、見学一日という制約から、欧米パビリオンは参観できなかったが、万博会場全体として印象深かったことは、会場随所に「トイレ」、「水飲場」、「ごみ箱」「休憩ベンチ」が設置されており、大勢の中国人が移動、行列、参観とも整然と行動していることである。 「トイレ」は男子専用がなく、個室10室が通路を挟んで並ぶ男女共用のもので清潔だが、外国人は最初チョットと惑うようである。「水飲み場」は大人から子共までを考えてあり、 「ごみ箱」は「分別ごみ箱」が設置され、回収が徹底されているのかごみが溢れているものは見あたらなかった。
又、レストランはファストフーヅ、コーヒーショップ等中国中心に世界各地から100店以上出店され、牛丼「吉野屋」、ラーメン「小川屋」、「アサヒビール」等もある。このために昼、夕とも食事は比較的苦労せずにとれる。                                                                        
(写真:パキスタン館)
価格についてはセルフサービス中華定食が24~28元(360~420円)であり、万博入場料160元(2400円)は少々高いが、地下鉄初乗り3元(45円)、杭州~上海:新幹線(250Km/1時間15分)一等:60元(900円)、青島ビール350ml缶3.50元(52円)等から現在の中国物価水準が想定される。
夕、20時からは「若い世代の世界博」とのテーマに、連夜、世界から参加の野外音楽会が開かれ、当日はキューバからMoncadaが出演、ラテンミュージックを堪能した。 この3日後には日本から「和太鼓」の出演が予定されていた。
短時間の万博見学であり、まさに「群盲象をなでる」の感であるが、規模の大きさ、各パビリオンの見事さ、整然とした会場と運営は想像以上のものであったが、それにもまして印象深かったことは、上海の街自体がマンハッタンのように変革しつつあり、上海人(中国人)が整然と列を作りじっと順番を待つ姿は10年前までは考えられなかった。 その人達は世代が一回り若返った青年、成人であり、中国も急速に世代交代と、教育の変化により社会も変質しつつあると感じた。
                                             以上、